賃貸住宅の更新料システムが異常な理由

ライフハック

アパートやマンションを借りたことのある方なら誰もが知っているこのシステム。

一般的に認知されているしみんな払っているからノンストップで払ってしまっているけど、よくよく考えるとその異常さが分かるので今日はその点についてお話ししたい。

■賃貸住宅の更新料

賃貸物件の契約期間(通常2年)が満了するときに、住んでいる人がまだ住み続けたい場合は更新料(通常家賃の1か月分)を払わなければならない。

家を借りる対価として払う家賃とは別に、更新するためだけにお金を払うのだ。

こんなシステムを導入しているのは不動産業界以外で見たことがない(後学のため、もしあったら是非コメントで教えていただきたい)。

■更新料請求がおかしいことの例え

他の業態で考えてみると非常におかしなことをしているのが分かる。

・飲食店の例

1時間食べ放題1,980円のコースを注文して、1時間経過した後に「もう1時間食べ放題したいです」と言った場合、「では食べ放題プランの1,980円と更新料として100円頂きます。」と言われているのと同じなのだ。

満席でお客さんが並んでいるとか、予約が入っているとかならいざ知らず、そうでない場合にも100円とられるとしたら「何言ってんの?」と思う人が多いのではないだろうか。

食べ放題を注文してあげるんだから、お店の利益になるんだから、1,980円だけ払えば十分だろうと。

・電車の例

東京から横浜までの切符を買って横浜駅で下車したとき(改札はまだ出ていない)、「このまま熱海まで行きたいです」と駅員さんに伝えたら「じゃあ横浜から熱海までの切符を買ってください。更新料として100円頂きます。」と言われているのと同じだ。

同じく「何言ってんの?」と思うだろう。

■更新料をとるのは恩を仇あだで返す行為

更におかしなことに、契約を更新してあげることは貸主側にメリットが大きい取引なのにも関わらず、恩を仇で返すように更新料を請求してくることだ。

昨今はマンションの空室率も上がっているので、よほどの人気物件でないかぎり、退去されたらバカにならないコストがかかってくる。具体的には

  • 退去の立ち合い、手続き。
  • クリーニング、鍵交換の手配。
  • 入居の募集
  • 仲介した不動産会社に仲介手数料の支払い(0.5~1か月分)
  • 空室が発生する場合、その期間中の家賃収入が0となるリスク
  • 空室回避のため、フリーレントや家賃減額などの値下げ

などだ。

対して更新してくれる場合にかかるコストは

  • 更新手続き

のみである。

よほどの人気物件でないかぎり、更新手続きだけで将来の家賃収入を確保させてあげる更新のほうが貸主にとってプラスなのだ。

百歩譲って、貸主にかかるコストとして妥当な金額なら納得できる。

更新手続きなら契約書のまき直しとそれに付随する業務が必要になるだろうから、事務手数料として高くても3,000円くらいが妥当だろう。(携帯電話の新規契約事務手数料は3,000円だ。)

家賃1か月分(首都圏なら安くても5万円程度)というのは明らかにやりすぎである。

一応探せば更新料なし物件というのはあるのだが、割合は少ない。

そもそも物件というのは立地や間取りありきで探すことがほとんどだから、必須条件で絞り込んだ結果更新料ありの物件となってしまい、しぶしぶ承諾しているという人がほとんどだろう。

■更新料をとることがまかり通っている原因

とはいえ、法律上更新料を請求することは認めらている。

はじめてその物件を契約するときに契約書に「契約更新の場合は更新料として賃料1か月分を支払う」と書いてあるので、それに従って払わなければいけないのだ。

つまり、現状の法律が民意(というか私の意(笑))に反しているのが原因といえる。

いくら民間の取引だからといって消費者にとって不当に不利益な契約が大多数という状況はおかしい。

特に住宅というのはインフラの一つなのだから、その「不当」の程度は通常の契約より消費者保護寄りの基準に下げられてしかるべきだと私は思う。

たとえばこれが宝飾等のぜいたく品や、酒タバコなどの嗜好品なら「この条件がのめないなら契約しなきゃいいじゃん」「宝石も酒もなくても生活できるんだし」が通用する。

しかしことインフラに限っては「契約しなきゃいい」は通用しない。住宅がなければ生活できないのだから。

■現状を変える手段

現状を変えるには2つしかない

  1. 「更新料をとるのはおかしい」という民意を大きくし、法律を変える。
  2. 更新料を請求しない貸主が多数派の社会にする。

1.法律を変える。

「更新料をとるのはおかしい」という民意を大きくし、法律を変えるのが一つ目の手段。

ただこれは非常に難易度が高いと言えよう。

N国党の活動の成果もあってNHKの活動の悪事が話題になっているが、それでも放送法の改正には至っていない。

まして更新料の恩恵にあずかっている貸主は高齢者が多く、彼らは政治家にとって大事なお客さん。

今の日本の政治家が高齢者をいじめるような法律を作るとは思えない。

となれば自身が政治家となって法律を変える活動をしなければならないが、更新料の請求は客観的に見てNHKの悪事より何倍も小さなイライラ。これのために法律を変えるというのはNHKをぶっ壊すより何倍も大変なのは容易に想像がつく。

2.更新料を請求しない貸主が多数派の社会にする。

更新料を設定している物件は選ばないようにし、社会全体で更新料を請求しない貸主を多数派にするというのが二つ目。

こちらは政治家にならずともインフルエンサーになれれば実行できそうだ。

■まとめ

おそらく上記二つの方法のどちらも投下するエネルギー量に対して見返りが小さすぎる。

更新料がなくなったところで、家賃がその分上乗せさせるだけだろうから大して意味がないように思える。

また、更新料の分だけ年収を上げる方がよっぽど簡単だ。

やりたいことができたときに、今回のように得られるメリットと必要なエネルギーを比較してやるやらないを考えるのも人生を生き抜くのに必要な手順のような気がした。

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