学校の授業はVODにすべき理由

仕事術・副業

昨今、YouTubeでの教育動画の普及やコロナ禍でのリモート化により、教育にも「オンライン授業」の波が押し寄せている。

メリットはあるものの、同級生との交流ができないなど弊害もある。

そこで対面授業とオンライン授業の折衷案である、ビデオ・オン・デマンド授業(VOD)が最強である理由をあげていきたい。

■VOD授業の運用

どのように運用していくのかをあらかじめ整理しておきたい。

・時間配分

たとえば中学校なら50分授業のうち、40分はビデオ。残りの10分で問題を解いたり、課題に取り組んだりする時間とする。単元によってこの配分は前後する。

・機材

プロジェクターで動画を投影する。ビデオが終わったら黒板も使える。

・先生の動き

先生はビデオ再生中、教室で授業以外の業務をする。ビデオが終わったら生徒からの質問を受けたり、生徒が問題を解いたり課題に取り組んだりするのを促す。

・生徒の動き

ビデオは授業後に何度も見返せるのでノートは基本とらない。ビデオ再生後に問題を解いたり、課題に取り組んだりする。

・ビデオの提供会社

教科書の出版社や予備校がビデオを製作する。(※分かりやすいビデオができると予備校にお金を払う人が少なくなるので予備校がビデオ制作に参入するかは疑問だが)

私は教員経験がないので「ビデオ再生中に先生が授業以外の業務ができるか?」という点については信頼性に欠けるが、それ以外は特段難しい運用ではないと思う。

これを踏まえてVODの良い点悪い点を挙げていきたい。

■VODの良い点

・最高の授業を聞ける。

話が分かりやすい人がいれば分かりにくい人もいるのが世の常。

これはもちろん教師についても言えること。

学校基本調査によると中学校だけでも教員は約24万人。それだけの人数がいれば必然ブレが生じてくる。

私が高校1年生のときは化学の先生の説明が下手すぎて、molの概念についてクラス中が理解不能に落ちった時があり、その実態を、身をもって体感している。

これがVODならかなり解消される。

一般社団法人 教科書協会によれば、中学校の数学の教科書を出版しているのは現在7社。

出版各社は自社の教科書販売のため、制作したビデオの販売のため、他社より少しでも優れたビデオを作り上げようとする。

競争社会にさらされた彼らなら、24万人の下位12万人より良い授業をしてくれるのは間違いないだろう。

一般社団法人 教科書協会HPより

・無駄な時間がなくなる

対面の授業だと100%無駄な時間が発生する。それは先生が板書する時間とノートを書き写す時間だ。授業を理解するうえで板書を待つ時間・ノートを書く時間は全く無意味だ。ビデオなら表示させたい文字・図・写真を一瞬で表示させられる。

ノートを書き写す作業が入る場合は先生が板書する時間が欲しかったりするが、それでは板書を書き写すのが授業の本体になってしまって、肝心の理解するための時間が少なくなってしまう。

授業の本質は知らない知識を理解すること。

理解に不必要な時間を削除できれば、授業時間が少なくなり、問題演習や課題を取り組む時間に充てられる。

・何度も見返せる

対面授業だと、先生の板書や先生の発言を授業の時間内だけでノートに書き写す必要がある。

聞き逃したり、書ききれなかったりすると、二度とその情報にはアクセスできなくなり、非常にもったいない。

また、聞き逃すまい、書き逃すまいとするあまり、話の理解に脳のリソースを避けなくなり、理解できずに授業が終わってしまう可能性も高まる。

ビデオなら何度も見返せる状況のため、聞き逃し、書き逃しはなくなるし、授業の理解が第一優先となり理解も深まる。

・教師の残業時間が減る

昨今、教師のサービス残業が社会問題になっているが、ビデオ授業はその一助となりうる。

ビデオ再生中、教師は手が空くので授業以外の業務(テストの採点、学校行事の準備、進路相談の準備等)に従事できる。また、授業の準備時間もかなり削減できるだろう。

1日でおよそ「30分×4~5コマ=2~2.5時間」、単純計算で月40時間ほどの残業が減らせる計算だ。

もちろん部活動だったり生徒指導だったり、授業時間中にはできない業務もたくさんあるので40時間全部が残業削減に充てられないとしても、月10時間でも20時間でも残業が減らせるのであれば有効な手段といえよう。

・代役が簡単なので休みやすい

教師というのは最も休みがとりづらい職業の一つだと思う。

その理由の一つとして授業が進まなくなることが挙げられると思うが、VODなら代役が簡単なため、休みやすくなるのではないだろうか。

代役の先生は予定していたビデオを再生して、生徒からの質問には簡単なものは答え、そう出ないものは次週に回す。

休む先生も申し訳なさが少ないだろうし、代役を任される先生としても負担が軽いだろう。

■VODの悪い点

いろいろ試行を巡らせてみたが、正直悪いところが見つからない。

というか、私が提案しているのは全部ビデオまたは全部対面授業という0-100の話ではなく、ビデオのいいところは享受して、ビデオにはできない部分は今まで通りに行えばいいという案なので必然悪いところが見つからないのだ。

たとえば考えられるのが、

・ビデオ再生中はグループワークができない。

理科の実験だったり、4~5人で話し合って取り組んだりする時間があると思うが、ビデオでは当然できない。しかし、そういうものはビデオ再生前後に行えばよい。

・ビデオ再生中は教師に質問できない、しにくい。

これもビデオ再生前後に質問する時間を設ければOK。もしくはビデオ自体に質問タイムを組み込んでもよい。

といった具合だ。

■社会全体は無理でも、個人でできる。

以上の話、現役教師の方々から「そんなこと言ったって机上の空論じゃないか」「制度が変わる頃にはとっくに定年だよ」なんて声も聞こえてきそうだ。

しかし、制度の導入を待たずに自分でやってしまえばよいと私は思う。

要するに授業でやる予定の内容を自分で動画にして、授業中はそれを流すだけにするのだ。

今はYouTubeで動画の作り方なども学べるし、教える内容はほとんど変わらないのだから一度作ってしまえば毎年使いまわせる。

私が学生時代のときでもビデオを使った授業をしている先生は居た(さすがに自作ビデオではないが)ので、ビデオ再生が学校で禁止されているということもないだろう。

結局、やらない理由を挙げようと思えばいくらでも挙げられるし、やる理由もまたいくらでも挙げられるのだ。

■まとめ

最終的には地方公務員の教師に民間同様の残業代が支払われないと、根本的な解決には至らないと思う。

しかし、自分の努力でも現状を良い方向に変えられることもまた事実だと思う。

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