分かりやすい話し方のテクニック:住所法

仕事術・副業

相手に分かりやすく話を伝えるテクニック、住所法を今日はご紹介したい。

■話が分かりにくい原因

あなたが仕事でA社と契約を交わす手続きを進める担当をしているとしよう。

自社の法務部がA社に要求している項目BがA社から拒否され、契約締結ができない可能性がでてきた。自分の考えとしては項目BをCに変更すればA社も法務部も納得してくれるのではと思っているが、それが可能か上司に相談したい場面が出てきた。

そんなときに話の伝え方が下手な人は

「すみません、今契約予定の書面で項目Bを項目Cに変更しようかと思っているのですが、これが可能かどうかご意見いただけますか。」

のように話をする。

上司はいきなり細部の話をされても、あなたが担当している業務の中のどれについて話をされているのかが分からないのである。

そして部下の業務を管轄しているからといって細部まで常に把握しているわけではない。

この例でいえばあなたがA社との契約手続きを進めているところまでは認知しているが、法務部が項目Bを要求していること、A社が拒否していること、項目BをCに変更することで解決しそうなことについては知らない。

その情報を上司に伝えないので分かりにくい話し方になってしまうのだ。

そこで、初めて会った人に自分の住所を伝えるのと同じように伝えると非常に分かりやすくなる。

■住所を伝えるときのように言う

・相手も知っている情報から話す

自分の住所が

東京都世田谷区深沢5丁目24−23

だったとき、いきなり「24の23です」という人はいないだろう。

それは何県何市のどこどこの、という情報がなければ番地だけ言っても相手には伝わらないことが分かっているからだ。

だが先の例ではそれをやってしまっている。

初めて会った人には「世田谷区の深沢に住んでいます。」などというはずである。(現代社会においてそんな機会はまずないだろうが)

日本に住んでいる人なら世田谷区は常識的に知っていることがほとんどだろうから、この情報を伝えることで相手との認識を合わせることができる。

これは先の例でいうとあなたがA社と契約を交わす手続きを進めているという部分にあたる。

こうすることで、その一つ先の細かい情報「深沢」という地名を知らなくても「世田谷のどこかにあるんだろうな」と相手に伝わる。

・相手が知らない情報は一段ずつステップを踏む

そして最初のステップでは深沢で止めておく。

これは「深沢」の詳細情報(世田谷のどのへんにあるの?)を求めてくる場合があるし、5丁目24−23という情報を求めていない可能性があるからだ。

これは先の例では、「法務部が項目Bを要求していること、それをA社が拒否していること。」という部分にあたる。自分と上司との間で認識できている情報の一つ先を話して、上司に現状を理解してもらうのだ。

もしかするとここで上司が「それどういうこと?もうちょっと詳しく教えて」と聞いてくるかもしれない。そのような状態なのにさらにその先の「自分の考えている解決案」を話しても、その前の段階で躓いている上司は判断ができない。

また、ここまで話しただけで現状を把握して「それはまずいな、俺が巻き取るよ」と言ってくれるかもしれない。そうしたらわざわざ上司の時間を奪ってまで自分が考えている解決案を話す必要はなくなるのだ(必要がなくなるだけであって、「こうすればいいと思うんです!」という意見を言うのはアリ。)

この住所を伝えるときのように、大きいカテゴリ(相手が知っている情報)からどんどん小さいカテゴリ(相手が知らない情報)へ移行する伝え方を住所法と勝手に呼ぶことにする。

■相手が知っているレベルから詳細を話していく

この住所法は相手によってスタート地点が異なる。

例えば外国人なら世田谷区を知らないこともあるだろうから、東京都から言わなければならないだろうし、逆に家が近くで同じ深沢に住んでいる人ならわざわざ世田谷区の深沢、と言わなくても通じる。

契約締結の場面で考えると、そもそもあなたがA社と契約手続きを進めていることを知らない役員に話すのであればそこから話さなければならないだろうし、つい先ほどまでこの件でミーティングしていた先輩に話すのであればいきなり自分の解決案から話し始めても通じるだろう。

相手との共通認識のレベルによってどれだけ大きいカテゴリーから話し始めればよいのか判断する必要があるわけだ。

■まとめ

今日お話ししたことは一見非常に初歩的に思えるかもしれないが、これができていない人は年齢問わず居る(役職が上の人にはやはり少ないイメージ)。

他人事と思わず、自分の話し方を意識してみたり、あるいはできていない後輩などがいたらこの話を伝えてみるとよいコミュニケーションができるかもしれない。

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