羽鳥慎一モーニングショーで、衝撃的なニュースが報道されていた。
新社会人の22歳女性が実体のない投資話などでお金を集める「モノなしマルチ商法」の被害に遭い、150万円を支払った1か月後に自殺をしたというものだった。
私もかつて似たマルチ商法の被害に遭い、200万円超の借金を負ったことがあるため他人事とは思えなかった。
そして「自分は騙されない。」「騙されたとしても自殺はしない。」と、高をくくっている人も決して他人事と思わないでほしい。
同じ道をたどることがないよう、原因と対策を一緒に考えていけたらと思う。
・報道の詳細はページの最後
■要因は3つ
要因は以下の3つだと考える。
- 経済的弱者であったこと
- ビジネス、特に投資に対する知識不足であったこと
- 過度な自責思考
以下では被害に遭ってしまった要因、自殺してしまった要因を考えるが、彼女に落ち度はなかったということはあらかじめ断っておきたい。※
※穂野香さんを勧誘した20代の男は「金融商品取引法違反罪」で略式起訴されている。日本では起訴後の有罪率は99.9%である。また、首謀者の男は「金融商品取引法違反罪」で逮捕されている。
1.経済的弱者であったこと
報道によると穂野香さんは母子家庭で、大学在籍時に奨学金を借りていたようだ。
社会人になったばかりではあるが勤務先名についての報道はなかった。憶測でしかないが、高給な有名企業ではなかった可能性が高い。高給であれば300万円の奨学金は2~3年で返済の目途が立ち、わざわざ眉唾ものの投資に手を出す必要はないからだ。※
※下品な考えだが有名企業であれば「○○社の社員の××さんが詐欺に遭って自殺、かわいそう。」と、人の関心を高く買うことができるのでマスコミも報じるはずだ。2015年に自死した高橋まつりさん(電通)や8年で5人の自殺者を出している三菱電機など、有名企業は社名も併せて報道されていることが多い印象だ。もちろん、これらは企業の労働環境が原因であったので背景が全く同じというわけではないが。https://toyokeizai.net/articles/-/337667
そうすると奨学金の返済に将来を悲観し、できるだけ早く返したいという思いから騙されてしまったのかもしれない。
2.投資に対する知識不足であったこと
穂野香さんは今回の投資に関するノートをとっていて、その中で「デメリットは正直ない」とメモを残していた。
残念ながらビジネスや投資については必ずデメリットがある。
150万円もの大金を消費者金融から借金して始めようというならなおさらだ。
3.過度な自責思考
同じ状況、あるいはそれ以上にひどい状況に置かれても自殺しない人もいるだろう。
そんな中彼女が自殺してしまった要因の一つには過度な自責思考があったように思われる。
それは1人で育ててくれた母への遺書だったり、男に返金を求める会話の中で男や交際相手に対して見せた気遣いだったりに表れている。
必要以上に責任を感じてしまう性格から、他の人よりも精神的に弱ってしまい、自死に至ってしまったのではないかと思う。
■自分がとれる対策は2つ
![](https://recovery10y.com/wp-content/uploads/2022/08/business-g715e03540_1920-1-1024x685.jpg)
1.騙されないために、経済の原則を知ること
・努力なし、短期間で大金は得られない。
騙されてしまった要因の一つ目として、経済的弱者であるということだったが、これを努力なしや短期間で挽回しようとしてはいけない。
今の世の中、勝つためには能力と情報がいる。
能力は一朝一夕で手に入れることはできないし、情報もタダでは手に入らない。
情報を金で買えない経済的弱者が勝つ方法は「市場で戦えるだけの能力」を手に入れることしかないのだ。
今回のような「努力なしで、お金を入金しただけで高いリターンが得られる」話は経済的弱者まで回ってこない。
もしそんなスキームが存在するなら、その情報は価値を持ってしまい、金持ちたちの間でしか出回らないからだ。
・ローリスク・ハイリターンな投資は存在しない。
これは以前このブログでも書いたことがあるが改めてここでも書いておきたい。
ローリスク・ハイリターンな投資は自然淘汰され、市場には存在しえない。
もしそのような投資が出現したとすると、その投資は価値をもち、広く情報が広まる。
すると投資を受ける側は高いリターンを提供しなくても多くの人が投資をしてくれる状況になるのでリターンを下げる。
結果、ハイリターンからローリターンに変化し、ローリスク・ハイリターンな投資は市場から消えるのだ。
2.自責と他責を正しくとらえる
今回の被害は「ジュビリーエース」の詐欺によるものだ。(杉山雅浩弁護士は加害者と思われる人物の名前を「詐欺師」として挙げている。)
相手が犯罪をしてきた以上、どんなに惨めで将来を悲観したとしても「騙してきたなら私は悪くない」というスタンスでいいのだ。
ピッチャーが好投している中、野手のエラーで点を取られても自責点はつかないのと一緒。
「点をとられてやばいけど、しょうがない。俺は悪くない。」といい意味で無責任に構えればいいのだ。
■精神が弱っているときの対処法
・肉体と同様、病院に行く
精神が病んでいるとき、活動してはいけない。
風邪やケガで肉体が弱っているときにゆっくり休養をとるように、精神が弱っているときも休んで回復してから動くべきなのだ。
軽い症状なら日が経てば回復するだろし、もし治らなければ精神科に行くべき。
■さいごに
![](https://recovery10y.com/wp-content/uploads/2022/09/sunset-g7a2b38653_1280-1024x628.jpg)
亡くなられた穂野香さんはお母さまや交際していた恋人に頼ることができていたようだが、それでも自殺をしてしまった。
私も多額の借金(奨学金も合わせれば約800万円)と好転しない自分の人生に絶望し、一晩だけだが本気で自殺を考えたことがある。(私の場合は幸いにも一晩で済んだので自死には至らなかった)
そんな経験があるから分かるのだが、本当に自殺しようと思っているときほど誰にも言えない、というか情けなさだったり惨めさだったりで言いたくなくなってしまうのだ。
つまり、そのような精神状態に陥る前に対処しなければいけないということ。
その方法が騙されないことと自責の念を抱かないことだと思っている。
この記事が一人でも多くの人の記憶に残って被害を減らせるように、このブログを頑張っていきたい。
私にできるのはそれくらいだ。
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